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TW2 Silver Rain 武田・理人(b68087)のblog。
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――初めまして、こんにちは!

其れは雪のしんと降り積む、冬の朝にて。
幼き土蜘蛛が初めて目にしたのは、微笑み――。

『……おはよう、花枝…』
『おはようございます、理人様。』
つとめて。肌を刺すように寒い中、火の気を感じてその元へ歩み寄ると、そこには我が巫女がいた。火鉢という、巫女ら人間が使う暖をとるための道具だと聞いた。
ふと興味がわいて手を伸ばす。すると花枝がとっさに手で其れを制した。
『ああっ!?危のうございます!』
『………ならぬのか……?』
『あまりお傍まで手を寄せてしまえば火傷を負われてしまいます!お気をつけ下さい。これなら……安全にございますよ。』
花枝はそういうと、まだ小さな体の私を抱き寄せて、丁度いい按配に手をのべさせてくれた。
その時の温かさを、今尚思い出すことがある。土蜘蛛となったばかりの、古の記憶だ……。

それから、私は様々なことを花枝から教わった。教養、土蜘蛛の務め、それから他愛も無い花枝の話もよく聞いた。
何時の頃か……母というものを知って、まさに花枝がそれだと思うようになった。
『まぁ何を仰るのでございます!?私は確かに蜘蛛童だった頃から理人様のお傍におりますけれども、母などと、そのような、畏れ多い………。』
私が思うままを話すと、花枝は幾分大きな声で驚いた後に次第に声が小さくなり、慌てふためいていた。
それを不思議な思いで見上げていたのは……私が齢幾許にもならぬ頃のことだったか。

今にして思えば、私が如何に幼い考え方をしていたかと嘆かわしくなる。
何事も変わらぬものは無い。変遷は不穏であろうと、平穏であろうと、等しく訪れるのだ……。

『最期の我侭を、お許し下さいませ…………どうか、お聞き入れを……理人様。』
私が元服を迎え、数年が経った頃の記憶……花枝との最後の思い出は、彼女の断末魔で終わる。
《見えざる狂気》というものなのかは定かではない。そもそも、平安の世、私が生きている間はまだ忘却期には入っていなかった。
それでも、花枝の人格や思考が狂い始めていたのは明らかであった……。
『どうか、愛しい貴方の手で……逝かせて欲しい……。』
私は、悩み悩んだ末……その願いを聞き入れた。

――《母》たる巫女を殺めた我が手は、其れ以後ずっと紅く染まり続けた。
巫女のおらぬ土蜘蛛、そして何も見ず、何も語らぬ土蜘蛛に積極的に関わろうとするのは、我等に刃向かう輩のみ。
私はただ、独り戦い続け……やがて短い生を終えた。

その私が、《無限繁栄》によって復活するなど……初めは何の戯れかと思っていた。
学園の者等と戦い、初めて敗北し……そして今に至る。

2度目の生。そして現代にて出会いし、我が巫女。我が友……。
花枝が、今際の時に残した最期の微笑みの意味を探りながら……今ひとたび、生きてみようと思う……。

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以前から後見人が書いていた非公式の物語、此度漸く第五話が出来たと言う。
第四話の公開が九月……長く間が開いたことを詫びていた。

今回の話では泰花と私が中心らしい。次回残る2人の話なのだろう……。
興味があれば、読みに来て欲しいとの事だ……。

【非公式SS】旧宙見村狂詩曲 第五話
http://seika0602.blog100.fc2.com/blog-entry-186.html

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●月下の舞

幸いにして雲ひとつ無くよく晴れた夜空の下で、御影・頼子(蜘蛛護りの言霊使い・b56529)は静かに座敷から立ち上がった。今宵もまた、月見の舞を舞うためだ。
「綺麗な月………今まで、澱んで見えていたのが嘘みたい。こうやって楽しく月見ができるのは6年ぶりだよ。」
それは、理人に出会えたお陰だからか…頼子は内心でそう考え、ふっと微笑んだ。
「理人さん、由比様……見ていて下さいね。」
「……ああ、見ていよう…。」
誰に言うとも無く小さく呟かれた言葉に理人が頷きながら返事をすれば、頼子からは再び笑顔が返る。

理人への思いを乗せた舞を、柔らかな月明かりが映し出す。
それは幽玄の世界へと観客達を誘った。

「頼子さんの舞、何だか今日は一段と綺麗ですよね。」
君山・雪姫(碧にして蒼雪を司りし姫巫女・b53767)が頼子と拵えてきた月見団子を供えて、香月はそう感想を述べた。そのすぐ隣で談笑しながら団子の用意を手伝っていた雪姫も、手を止めて同じほうへと視線をやる。
以前の頼子に比べて、今の頼子は危なっかしさが消えた――雪姫は最近そう感じるようになっていた。
今宵の舞も……
「あれから6年……あんなにいい表情する頼子は初めて見たよ。」
「そうだね……そうか、もうあれから6年経つんだ…。」
雪姫の言葉に香月は感慨深そうに目を伏せた。それからすぐ目を開けると優しく雪姫へと微笑み返す。それを見て雪姫はこののどかなひと時をゆったり過ごしたいと、心からの幸せを噛み締めた。

●ささやかな観月会、それから…

頼子が舞い終えて戻ってくると、理人達3人は拍手で迎えた。
それから4人で月を眺めながら、しばし談笑の時を過ごす。
決戦での応援のお礼、頼子と雪姫の変化の話、中秋の名月の由来……気心の知れた4人だからだろう、いつもは寡黙な理人も和気藹々としたその輪の中に入っていた。
「うかうかしてたら、頼子に追い越されるね。」
「それを言ったら、僕も気をつけてないと理人さんに追い越されますね……頼子さんと出会ってから、理人さんも変わってきてるからね。」
「…………追い越すか追い越されるかは知らぬ。ただ私は…頼子と共に戦えるよう、切磋琢磨するだけだ。」
理人の返事に香月が僕も同じ、と笑顔を返す。愛しい者を護りたいという気持ちはこの4人の共通の願いだった。
「理人さん……。」
頼子の唇からふと言葉が零れた。その声にすぐ傍にいた理人が振り向くとばったり視線がぶつかって。
二人のしばしの沈黙も、談笑している香月と雪姫には気づかれない――頼子がそっと瞳を閉じると、柔らかな温もりが唇に触れた。

「……ああ、来年もやりたいですね、お月見。」
ふと紡がれた香月の言葉に、雪姫は頬を薄く染めて頷く。
「………同感だ。来年はもう少し、落ち着いているといい……。」
少しの間をおいて、理人と頼子も頷いた。

月明かりは、4人を祝福するかのようにふんわりと舞い降り続ける――。

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銀誓館学園の学生寮の一室――。
よく晴れた空を見上げたまま、武田・理人(高校生土蜘蛛・b68087)は思考に耽っていた。
そこに突然、声がかかる。
「中秋の名月は昨日で、だけど満月は今晩だなんて……何だか不思議だよね。」
声の主は、同室の土御門・香月(氷月に降る淡い蒼雪・b63217)だった。先程まで読書をしていたはずの彼は、今は本を閉じて理人のほうを見ていた。
「……太陰暦の八月十五日の月をそう呼ぶからな。月の動きをもとに作られた太陰暦とはいえずれは起きる。」
「なるほど……。」
旧暦の八月十五日の月=満月、と捉えられてきたために、今でもその日を満月の日と考えて月見をするのだ。
しかし今年もずれが起きた。
「折角今日が満月なら、今夜改めてお月見がしたいですね。……どうですか?理人さん。」
「二晩続けて月見か……?」
「良いじゃないですか。昨晩は運動会の準備やら決戦の重傷が治ったばっかりだったりとかで、ゆっくりできないままだったんですし。雪姫さんも誘えなかったし、理人さんも頼子さんとお月見ができたら良いんじゃないですか?」
「……ふむ。」
つまり香月は、お月見のやり直しを提案したいらしい。
確かに昨晩は二人とも夜も更けて来てからやっと一息つけたため、ろくにお月見の雰囲気も無いまま過ごしていた。折角の月見に、大切な人を誘えなかったことも、改めて考えると寂しい様な気がする。
「…………頼子と雪姫に聞いてみるか…。」
「はいっ。」
理人の言葉に、香月は笑顔で頷いた。

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今日、私の後見人が自分のblogとやらの整理整頓をすると言っていたので私もリンクなるものを少し増やしてみた。この日記というのが、blogというものらしい。……良く分からぬが、そういう名前なのだろう。

今回この日記からリンクなるものに登録させて貰ったのは、頼子のものと、あとは同じ後見人の者らのものか……。結社で見かけてはいたが大して話した事も無い。機会があれば、彼らとも話をしてみようと思う。

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プロフィール
HN:
武田・理人(b68087)
年齢:
32
性別:
男性
誕生日:
1993/01/31
職業:
銀誓館学園高校生
自己紹介:
土蜘蛛戦争以降、現代についての教育を施され、2009年8月3日に漸く銀誓館学園へ正式に入学した。

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 このプロフィール画像は、株式会社トミーウォーカーのPBW『TW2:シルバーレイン』用のイラストとして、武田理人が作成を依頼したものです。
 イラストの使用権は武田理人に、著作権は彪雅 マサト絵師に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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