頼子に、私の巫女になってくれぬかと告げた……昨日の事だ。
何度となく探索において補佐を受け、手紙のやり取りや結社での交流もし………巫女として、問題無いだろうと判じたためだ。
………欲を言えば、戯れ如きで感情を暴走する事がある点について、心配だが……そこは私が諌め宥めると決めた。主となる以上、責務がある。また、齢を考えればまだ無理も無いという事もあるだろう。

昨夜のうちに返事が来たときは、内心でやっと安らぎを感じる事ができたように思う……。

私は、頼子よりも弱い土蜘蛛だ……早く、せめて同じレベルには並びたいと思う。護られるだけではなく、護れるようになるために…。
そして何より……護られる以上、その恩に報いる事ができるよう…。

現代の事も、学園の能力者のことも、まだまだ学ばねばならぬ。果たすべきを果たし、為すべきを為し、頼子の気持ちに応えていこうと思う。

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昨日、以前迅に教わった土蜘蛛屋敷という結社へ再度向かったところ、団員募集が締め切られていた。
もう暫く様子を見るか、頼子から紹介された結社を訪ねてみようか、迷っている……。

ただ、暫くは新しい結社に入らずとも良いかも知れぬ…今いる場所には土蜘蛛こそ居ないが多くの能力者がいるし、学ぶことも十分多い。

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今日は私が所属する結社の団員、迅(b49508)の誕生日だそうだ。
……人間の誕生日というのは、どの様なものなのだろうか。何となく分かるようで、いまひとつ実感が沸かない。

私には、卵として産み落とされた日、蜘蛛童として卵から孵った日、土蜘蛛となった日と、姿を変えこの世に現れた日が3日ある。どれも「誕生日」の定義に当てはまりそうだ。
学園に正式に入学する時の誕生日には土蜘蛛となった日を登録してあるが……そもそも前2つについては日付を覚えていないし、覚えている者も――私を生まれたての蜘蛛童から土蜘蛛へと育ててくれた巫女も、もう居ないからな……。

また、人間の誕生日というのは概ね祝うものらしい。今日は結社で盛大に贈り物や祝いの言葉のやり取りが行われている。
見慣れない光景だが、決して居心地の悪いものではない。
私は騒がしいのはあまり好きではなかったはずだが……不思議なものだ。


……そういえば、巫女のことを思い出して気がついたが、頼子(b56529)は誰かの巫女なのだろうか。
まだ会って間もないこともあって特に話を振ることも無かったが、朔(b50957)のように蜘蛛童を連れているわけでも、誰か他の土蜘蛛や鋏角衆と居る様子も無い。

………いや、今は触れぬほうが良いのだろう。
私も、早く後継の巫女を見つけなければなるまい――彼女を忘れる事は、出来ないが……。

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人間が書く「日記」というものを、私も始めてみることにした。過去の事を記録しておけば何かの役に立つ事もあるだろう。
それから、時に「バトン」というものを渡される事がある、と習った。どのようなものか良く知らないが、少なくとも日記で使うバトンと競技種目で使うバトンは違うものなのだろう。

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